黒ビールが黒いのは『濃色麦芽』が使われているから
「黒ビール」とは、見た目が黒色~濃褐色をしたビールです。香ばしさを感じる独特な苦み、甘みやほのかな酸味が特長で、根強い人気がありますよね。
ビールは視覚的に色で分類すると、淡色ビールと濃色ビールの2種類に分かれます。黒ビールは、濃色ビールの一種です。では、黒ビールの黒い色は、どのようにしてできあがるのかご存じでしょうか。
ビールの色は、使用する麦芽の種類によって大きな影響を受けます。麦芽の麦芽の焙煎具合も重要です。ビールの原料となる麦芽の生成には、下記の2つの工程があります。
- 温風を当てて麦を乾燥させる、「焙燥(ばいそう)」
- 焙燥した麦芽にロースターで焦げ目を付ける「焙焦(ばいしょう)」
黒ビールには、焙焦して黒みがかかった「濃色麦芽」を使うため、黒い色のビールに仕上がります。濃色麦芽は、焙煎方法や温度によって種類が様々です。
- 120~160度で焙焦し、麦色~褐色をした「カラメル麦芽」
- 200~220度で焙焦し、濃い茶色をした「チョコレート麦芽」
- 220度で焙焦し、黒く焦げた色をした「クリスタル麦芽」
- 麦芽化していない大麦を220~230度で焙燥した「ローストバーレイ」
など、いろいろな種類があります。
黒ビールの製造に使われる濃色麦芽が原材料全体に占める割合は、実はわずか数%〜10%程度にすぎません。焙煎具合の異なる様々な種類の濃色麦芽を使い分けながら、配合率の違いに工夫を凝らすことで、見た目の色や味わいの異なる黒ビールが造られるんですよ。
黒ビールは大きく分けて4種類ある
一般的にビールは発酵方法の違いによって、「エールタイプ」と「ラガータイプ」に分けられます。
- エールタイプの黒ビールは、濃厚でコクのある味わいが特長
- ラガータイプの黒ビールは、キレのある香ばしさが特長
そして、黒ビールは産地や原料の違いによって、大きく分けて4つの種類に分類されます。
- ポーター
- スタウト
- シュバルツ
- デュンケル
ここからは、それぞれの特徴を解説していきます。
1)ポーター
ポーターは、エールタイプの定番とも言える存在の黒ビールです。
イギリス・ロンドン発祥で、18世紀の初め頃にロンドンで流行っていた安価なブレンドビール「スリースレッド」を手本にして生まれたと伝わっています。
イギリスのパブやスポーツ観戦のシーンなどでよく飲まれているポピュラーなビールで、多くの人々に親しまれてきました。マイルドでなめらかな口当たりが魅力で、苦味とコクのバランスが取れた飽きのこない味わいです。
2)スタウト
スタウトは、エールタイプの黒ビールです。
スタウトとは、英語で「どっしりとした、頑強な」という意味を持っています。
ポーターがアイルランドに伝わった際、アルコールを強化してより力強い味わいのビールとして進化を遂げたビアスタイルです。
力強いコクとアルコール度数、焦げたような強いロースト感の苦味が魅力で、特にコーヒー好きの人に好まれる味わいです。
3)シュバルツ
シュバルツは、ラガータイプの黒ビールです。
ドイツのバイエルン地方が発祥で、シュバルツとはドイツ語で「黒色」を意味しています。
スッキリとしたキレと爽快感があり、喉越しの良さが魅力。甘味の少ないドライな味わいで、コーヒーを思わせる香ばしさが楽しめます。黒ビールの甘みが苦手な人にもおすすめです。
4)デュンケル
デュンケルは、ラガータイプの黒ビールです。
ビールの本場・ドイツのミュンヘン地方が発祥。デュンケルとは、ドイツ語で「暗い」という意味です。
色は黒みがかかった深いブラウンで、他の黒ビールよりも甘味やまろやかさを強く感じます。飲み口がやわらかく、ロースト感が控えめなので、苦味が苦手な人にも飲みやすいです。黒ビールを初めて飲む人にもおすすめ。
黒ビールの代表“ドラフト・ギネス”
いろいろな種類の黒ビールがある中でも、私がおすすめするのは「ドラフト・ギネス」。
日本ではキリン株式会社が輸入・販売を行っている代表的な黒ビールで、スタウトに該当します。
見た目は濃い褐色で、これぞ黒ビールという独特の風格が漂っています。麦芽とコーヒーのような甘みを感じる香りで、ローストによる苦味と甘みがよく調和した味わいです。
口当たりはとてもなめらかで、クリーミーな泡がリッチな気分にさせてくれます。アルコール度数は4.5%と、一般的なビールと同じくらい。
黒ビール初心者にも比較的飲みやすく、通の人もしっかり満足感を得られます。黒ビールのいいとこ取りをしたような、バランスの取れた香りと味わいが魅力です。
その他にも発泡酒とビールの違いはこちらのページで解説しているので、気になる方は読んでみてくださいね。
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