赤・白・ロゼワインの違いは『ぶどう品種』と『醸造方法』にある
ワインには、赤ワイン、白ワイン、ロゼワインがあることは、多くの方がご存じだと思います。では、「これら3種類はどう違うの?」と尋ねられた時、正しく説明できる人は少ないのではないでしょうか。
ワインの赤、白、ロゼの違いは、原材料として使われるぶどうの種類と製造方法の組み合わせによって生まれます。ワイン用として使われるぶどうの種類には、皮が紫色の「黒ぶどう」と皮が黄緑色の「白ぶどう」があります。
基本的に「黒ぶどう」からは赤ワインとロゼワインが造られ、「白ぶどう」からは白ワインが造られます。ただ、「黒ぶどう」から造られる白ワインもあるため、ぶどうの違いだけで決まるわけではありません。
赤・白・ロゼの決定的な違いは、製造方法にあります。
赤ワインについて
赤ワインは、黒ぶどうのぶどう果汁に、果皮や種子も一緒に漬け込んだ状態で発酵させて造られます。
赤ワインの赤い色素は主にアントシアニンで、黒ぶどうの果皮や種子に多く含まれています。室温で発酵させるため、室温で飲むのが一般的です。

軽い飲み口のものはライトボディ、どっしりした重みのある飲み口のものはフルボディと呼ばれます。その中間がミドルボディです。アルコール度数は、白ワインよりも高めのものが多く見られます。
美容や健康に良いと言われる「ポリフェノール」は、白ワインよりも赤ワインに多く含まれています。
赤ワインに使われる代表的な品種をいくつかご紹介します。
- カベルネ・ソーヴィニヨン
- メルロー
- ピノ・ノワール
- シラー
- テンプラニーリョ
- マスカット・べーリーA
- ガメイ
深みのある色合いと、しっかりとしたタンニン(渋み成分)を感じるのが特徴で、重厚で飲みごたえのあるワインに仕上がります。
深みのある色合いと、きめの細かい程よいタンニンを感じます。まろやかで口当たりの良いワインに仕上がります。
透明感のあるルビー色で、イチゴやラズベリーのような香りが特徴です。タンニンは少なく、上品でなめらかな味わいのワインに仕上がります。
濃い紫がかったガーネット色で、スパイシーな香りが特徴。フルーティさとタンニンのバランスが取れた、パワフルな味わいのワインに仕上がります。オーストラリアでは、シラーズと呼ばれます。
スペインの代表的な赤ワイン用ぶどう品種。プラムやイチゴを思わせる香りで、渋味と酸のバランスが良く、繊細な味わいに仕上がります。
日本固有の赤ワイン用ぶどう品種です。生食もできます。キャンディのような甘い香りが特徴で、フルーティで優しい味わいとなめらかな口当たりに仕上がります。
タンニンが少なく、フルーティで軽やかな味わいのワインに仕上がります。ボージョレ・ヌーヴォーは、このぶどうから造られます。
白ワインについて
白ワインは、白ぶどうの果皮や種子を取り除いてから、ぶどうの果汁のみを発酵させて造られます。黒ぶどうを原料として造られる白ワインの場合でも、果皮や種子は入らないため、白ワインは少し黄色を帯びた透明な色になります。
熟成期間の短い白ワインは透明に近く、熟成が進むと色が濃くなってきます。味わいのタイプは、こくのあるまろやかな甘口とすっきりとしたシャープな辛口に分かれます。
アルコール度数は赤ワインと比べるとやや低めのものが多く、10度前後に冷やして飲むのが一般的です。
白ワインは、解毒作用や利尿作用があると言われ、食中毒の予防やむくみ予防にも良いとされています。
最近話題の「オレンジワイン」は白ワインの一種ですが、例外的な製法で造られます。白ぶどうを使って、赤ワインのように果皮や種子も一緒に醸して造るため、オレンジっぽい色に仕上がるのです。
白ワインに使われる代表的な品種をいくつかご紹介します。
- シャルドネ
- ソーヴィニヨン・ブラン
- 甲州
- リースリング
- ピノ・グリ
世界中で栽培されている代表的な白ワイン用ぶどう品種で、産地や気候の違いで様々な味わいを持つワインに仕上がります。シャンパーニュの原料としても有名。
柑橘系の酸味やハーブの爽やかな香りがあり、繊細で上品な味わいが特徴。近年、ニュージーランドでも注目される品種です。
山梨県を中心に広く栽培される日本固有の品種。クセがなく軽やかでスッキリとした、穏やかな味わいに仕上がります。
ドイツを代表する白ワイン用品種。しっかりとした酸味と、花のような上品な香りが特徴。爽やかな辛口から甘口のワインまで、幅広いワインが造られます。
香りは穏やかながら、辛口でコクと厚みのある味わいのワインに仕上がります。
ロゼワインについて
ロゼワインは、白と赤の中間的なワインのイメージが強いのではないでしょうか。でも、単純に白と赤を混ぜているわけではありません。
ロゼワインには、4つの製法があります。
- セニエ法
- 直接圧搾法
- ブレンド法
- ロートリング
最も一般的なロゼワインの製法で、黒ぶどうのぶどう果汁に果皮や種子を一緒に漬け込み、ある程度のピンク色がついたら果皮や種子を取り除いて発酵させます。赤ワインの醸造工程と似ています。
黒ぶどうの軸の部分を取り除いてから破砕して、プレス機で絞ることで、うっすらと色づいた果汁を取り出します。その果汁を発酵させます。白ワインの製法とほぼ同じです。
白ワインに少量の赤ワインを足して造ります。フランス・シャンパーニュ地方のスパークリングワインにのみ認められている製法です。
黒ぶどうに白ぶどうを加える以外、後はセニエ法と同じ工程で造られます。ドイツで有名なロゼワインです。
白では軽すぎるけど、赤では重すぎると感じる人には、ロゼがおすすめ。アルコール度数やポリフェノールの含有量などは、白と赤の中間くらいで、冷やして飲むことが多いです。

また、ロゼワインと言えば南フランスのプロヴァンス地方が有名ですが、グルナッシュ、サンソー、ムールヴェードルなど多種多様な品種が栽培され、ロゼワインの原料として使われています。
化学肥料を使わず、有機肥料で栽培されたブドウを使った自然派ワインの特徴はこちらで詳しく紹介しているので、気になる方は覗いてみてください!
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